④の続き
大島さんが第1期に個人で砂漠地帯を訪問してからは、さらに準備速度も上がっていく。荷物、食事の準備、現地の下調べ、緊急連絡先や最寄りの病院についてなど、必要なことや情報をまとめる作業が増えてくる。
自分自身も久しぶりの砂地ドライブの情報を集める。砂地を走る際の空気圧は。パンクの時は。バッテリーが上がった際の対応は。車が動かなくなった場合は。あくまで起こったら、というものだが、何も起こらずに済むはずがないようなところへの訪問なのである。
「問題など起こってみないとわからない。今から心配してどうすんの?」と地元のお気楽オージー達は言いそうな気もするが、こちらとしても命がかかっており、慎重にならざるを得ない。
オーストラリアの中心部は大昔水が張っていたという歴史がある。その水は現在は地下水となり地中奥深くに今も存在する。いわゆる大鑽井盆地。
その水は地中に吸い込まれ地表は砂漠になっているのだが、その歴史があるが故、砂だらけ。ということではなく、砂漠の中でも根を張ることが出来る植物がけっこう存在する。その砂漠植物の中にはやたらと茎、葉、種子にトゲがあるものが多く、自転車乗りの大島さんを苦しめまくったそう。
「車でどこまで影響でるかわかりませんが、道中きっと何回もパンクしますよ。」とは大島さん。なかなかビビらせる。北海道に住んでいた経験もあり、パンク修理も含め、タイヤ交換やタイヤ外しに苦はない。雪国ではみんな手慣れたもの。でもそのタイヤ交換も固いコンクリートの上だから容易に出来るというもの。砂地でジャッキを使うなど出来ることならやりたくない。
この頃になると大島さんはシンプソン砂漠内の道というか、轍というか、通り道が全て頭に入っているレベルになっていた。相当な時間を割いて砂漠研究に没頭していたことと察する。そりゃそうだ。長年の夢が叶う瞬間なのだ。何よりも冒険家の血が騒いでいることだろう。それにコースを間違うと砂漠で骨になる。自身の命を守るコース確認に余念がない。
間際には下準備として、また我々2人の息を合わせる為にも国内の別の場所で2泊程度の砂地キャンプを予定していたが、その日が大雨になってしまった。多少の雨なら。とも思っていたが、洪水レベルのものになる可能性もあり、止む無く断念。久しぶりの砂地ドライブはぶっつけ本番となったのだった。
・・・1つ不思議なことがある。大島さんは第3子が生まれたばかり。上のお子さんも年齢差が大きく開いているわけでもなく、まだまだ手がかかるお年ごろ。この時期に長期間家を不在にする。説得しまくったらしいが、これもまたすごい話だ。どうやったら奥さんに許しを請うことが出来るのかご教授頂きたいくらいである。
⑥旅編に続く
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