メルボルン郊外への旅行記 – 3

ゆるーく、出発したマウンテンバイクの3人旅。

最初の坂道に差し掛かるも、貫介が苦悶の表情を浮かべている。

『先が思いやられる・・・』と口に出して言ったか、言わなかったかは定かではないが、ゆるい上り坂を時間をかけてスタート地点となる駐車場まで登っていく。

ここにはいくつかのマウンテンバイク用のコースがあり、それぞれレベル分けされている。

まずは子供がいても安心と言える2キロのEasyコースを選択。

トレイルとはいってもマウンテンバイクであればなんてことはないコース。

皆そつなくこなすことが出来るレベルで多いに楽しめる。

また周囲は大自然だ。

この時期はオーストラリアの南のエリアの一部にしか咲かない州花「ピンクコモンヒース」が綺麗な時期だった。

下向きに小さな花を連続でつける何ともかわいらしい野草だ。

他にも街中では見かけることがない、グラスツリーも。

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あまり写真が上手く撮れていないが、この木の幹は成長がやたらと遅く、1年に1~2センチ程度しか伸びない。

成長が遅いだけでなく、面白いのは山火事がおきた後にその刺激で花を咲かせるという特徴を持つ。

燃え尽きたたいまつのようになっている部分がその花が枯れた後の様子。

この見た目がカンガルーの尻尾に似ていることからカンガルーテイルとも呼ばれる。

上述の理由で、当然ながらこのグラスツリーがあるところは山火事が起きるところとも言える。

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周りを見渡すと、そこかしこに山火事の跡がある。

こんな自然がやたらと多いところなので、他の生き物も多い。

前を走っていた為、少し先で2人を待っていたところ、足に水が滴ったような妙にひんやりとした感触が。

木の上からヤマビルが足に落ちたのだ。

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慌てて振り払ったところ、吸血前だった為難を逃れたが、ヤマビルがチェーンの上に落ちてしまった。

このヤマビルは一度吸血すると、口から人間の神経を麻痺させる成分を出しながらゆっくりと人間の血を吸う。

しかもこの成分には人間の感覚を麻痺させるだけでなく、血を凝固させない効果もあるらしく、気が付かずにいると何の感覚もないままヒルの体がパンパンになるまで生き血を吸われ続ける。

しかも吸血後の傷跡はその成分のせいで血が止まらない状況になる。

痛さはさほどないものの、厄介ではある。そして気持ちが悪い。

敢えて体の悪い部分の血を吸わせる、ヒル療法なるものもあるらしいが、健康体である限りご遠慮頂きたいところだ。

そんなこんなで大自然を感じながら、『Easyコース』2キロをあっという間に堪能。

息子の貫介はもう十分。『Wi-Fiのある環境へ行こう!』と言う。

ただトリッキーなことが大好きな妻の晴美とおれはどうにも走り足らず、嫌がる息子を無理やり『Difficultコース』へ連れ出す。

これが失敗だった・・・。

確かに少し難所の多いコースだった。

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そしてそのコースを2キロほど消化した頃には文句しか言わない状況になってしまった。

『任天堂スイッチを買わない限り両親を許すことはない。』と散々文句を吐きながら、時に歩き、時に自転車にまたがり、自転車レンタル屋の時間を若干オーバーしてゴール。

最悪真っ暗になることと、レンタル延長代金も覚悟したが、何とか日暮れ前の到着となった。

結局山道を9.5キロ。

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よく頑張った。と褒めちぎり、また何とか任天堂スイッチは勘弁してくれ。と詫びを入れ、最近覚えた炭酸飲料をご提供。

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さらに宿でのWi-Fi環境を約束することで今回のDifficultコースへ無理やり連れだした罪はお許し頂くこととなった。

我ら夫婦もしっかりとビールを頂き、バイクなのか、息子のケアなのかよくわからない疲れを癒したのだった。

 

人それぞれ楽しみ方は違うのだよ!勉強したまえよ。と一押しをお願い致します。
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