仲間の事故

トライアスロン

スイム仲間であり、バイク仲間であり、ラン仲間であり、トライアスロン仲間のまことさんこと、胸チョビ毛まことさんが旅行先で不運な事故にあってしまった。

彼は何度かこのブログにも登場している。

誰よりも努力家で、ちゃんとプランを立てて、トレーニングを積み、昨年は3つのハーフトライアスロンを完走。

今年はシンガポールの70.3とフルトライアスロンに参加する予定だった。

オセアニアに位置するバヌアツ共和国という国の離島でのことだったらしい。

地元の子供たちとの高飛び込み遊びで、体制を崩して水面に打ち付けられ、背骨の一部を骨折。

水面に落ちた瞬間、足は痺れ、『やばい』という感情が瞬時に脳内を駆け巡ったらしい。

上半身だけで泳いで陸に上がったとの事。

周りの人間やそのバヌアツのツアーの主催者が、急いで引き上げる手配をするも、こんなド田舎の離島には病院らしい、病院もない。

オセアニアにはPanadol(パナドール)という、ほとんどの人が万能薬だと思い込み、そして依存してやまない薬がある。

このパナドールは風邪をひいて熱が出たときにも飲むし、歯痛時にも飲む。

妊娠時にもこの薬なら飲めるよ。と医者が紹介してくるくらいだ。

なんて便利な薬だ。でもおれはそんな栄養補助のタブレットみたいに飲む気にはなれなくて、風邪を引いたときも極力避け、自力で直してきた。

でも胸チョビまことは背骨が折れている状況。

どうしようもない痛みがずっと襲ってきているのだ。

しかもバヌアツの離島でまともな検査も出来ない状況に置かれ、この時には背骨が折れているかどうかなどもわからない状況であった。

病院というにはほど遠い、いわゆるそれに近い施設から、パナドールを大量に支給してもらい、数時間置きに2錠ずつを服す。

気絶しそうな猛烈な痛みに耐えながら、オーストラリアに戻る準備を進めたらしい。

最近そういえば、アクティビティを共有しているStravaというアプリにチョビ胸まことさん、上がってこないな・・・。と思っていたところだった。

男同士、そんなにこまめにコンタクトなど取りはしない。

海外旅行に行っていたことなども当然知らない。

いちいちそんなことを報告し合うような付き合いたてのカップルのような関係ではない。

でもトライアスロンやマラソンという要所ではしっかりと繋がっていた人だ。

仕事が忙しいのだろう。程度に思っていた。

だが、ラン仲間の1人、ミスターサブスリーからの連絡で『まことくん、怪我してるの?』のチャットでの一言で知った。

ミスターサブスリーもこのブログに登場済の友人で、現在メルボルンを離れ、シンガポールに出向しているIT企業戦士である。

おまえ、メルボルンにいるんだから知っているだろう。状況はどうなっている?などと言いたげなコメントにも見えた。

でもおれは知らなかった。

慌てて連絡したら、帰ってきたコメントは 『今、ロイヤルメルボルンホスピタルで入院中です・・・』

『なんで言ってくれなかったんだよー!!!』

『ごめんなさい。誰になんて言っていいか、迷ってて・・・。先週の水曜日手術をしました。』

こんなやり取りを交わす。

それもそうか・・・。結局おれがお見舞いに言ったところで状況などは一切変わらない。

このやり取りをしたときに、『ようやく少しずつ歩けるようになってきました。』と言う。

今まで1人で社会生活を行い、スポーツに没頭していた毎日から突然訪れたこの試練。逆の立場ならどう受け止める?

人にいちいちそんなこと言える状況ではなかったこともこちらが当然理解すべきであったと思い、コメントで打ち込んでしまった配慮のないメッセージを消したくなった。

今までも助け合ってやってきた仲間の不運な事故に、どうして黙っていられようか。

先日、リハビリセンターに移動した彼を訪問しに行ってきた。

一目見た時、心配するくらいにフラフラと歩き、そして、痩せたように見えた。

剃っていない髭がそう見せていたのか、体重は以前と変わっていないという。

事故から手術を経て、10日ほどが経っている。

食事は摂れているのか。仕事はどうなっているのか。アスリートして復活出来るのか。

のどまで出ていた質問がつっかえて出てこない状況だった。

脳内での彼は元気だった姿が普通だったからだ。

メッセージで事故ってしまったことは知っている。

でも元気な姿が焼き付いているのだ。

その脳内イメージと目から飛び込んでくる情報の乖離に少し驚いて、出会った時の表情にいくらかの困惑が出てしまったかもしれない。

本人から色々と話を聴くにつれ、徐々に快方に向かっていると信じているということ、歩けなかった状態から今は歩けるようになった。食事も食べれている。と前向きな言葉が続く。

とは言うものの・・・『歩けるようになった』・・・

トライアスロンをやっていて、『すでに2019年の70.3とフルアイアンマンを申し込んだ。』と言ってたような人の口から聞こえてくるワードとしては、自分の脳内で理解するまで何やら強烈で、消化に時間がかかる。

でも彼はネガティブには捉えていない。

『まずは社会復帰を果たす。』と小さい声で言うその力強い言葉に、こちらも応援することを誓う。

まだこれから2週間はリハビリ施設での生活が待っている。

本格的な冬も間近に迫り寒くなってきたここ最近のメルボルン。

本日彼が送ってきたメッセージにユニクロのスエットや着替えのパンツ、あったか靴下のリクエストがあった。

購入して早速今夜持っていくことにする。

おれに出来るのはこんなことくらいだ・・・。

今はまだスイムもバイクもランも考えられないだろう。

見舞いの品としてトライアスロンの冊子を持っていこうと思ったがやめた。

人がどれだけ走ったか、どれだけのスピードが出せたか。などと言うものに、今は全く興味も持てないだろう。

でもいつか復帰してまた一緒に走ろうぞ!!

じゃ、ユニクロ行ってくるよ。

Makoto

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