世界最大の砂漠を自転車で横断するサラリーマン冒険家のサポート⑮

シンプソン砂漠(恐るべき空白)

の続き

2019年9月18日

この日の目標はビッグレッドなる最難関とされる砂丘へ向かう。

ビッグレッドとはこの砂漠の中でも最高度の高さを誇り、西から東へのアプローチが最も難しいとされる。我々はまさにこの西から東へのアプローチとなる。

※風向きの関係から西から東へ抜ける道のほうが砂丘の坂が急になるとのこと。

とはいえ、ここまで数多くの砂丘を超えてきている。自転車旅を続けている大島さんは満身創痍だろうが、涼しいサポートカーの中にいたおれはふつうに元気。そしてここまでの数々の砂丘超えが自信にもなっていた。

低い砂丘もあれば高い砂丘も。砂の深い砂丘もあれば、石混じりのものも。ここまで(数えていないが)1,000を超える砂丘を超えてきている。ビッグレッドは前評判では最難関と聞いていたが、数々の砂丘越えを経験している。

大島さんはこの日のキャンプ地からビッグレッドまでサポート不要。と言いきる。ゴールが見えてきており、この自転車旅にさらなる追い込みをかける意気込みだ。

朝はいつもと同じ。食事と(野)トイレを済ませて日が昇った7時に出発する。夜は暗くなったら寝ているものだから2人とも目覚ましなしで、夜明け前に起きるような生活だ。

その分朝の活動開始時間もそれなりに早まる。かといって暗すぎると道が見えない。日が出てからの出発となる為、だいたいいつもこの時間。

いつものように朝からカップ麺を美味しく頂き、お茶をすすり、テントを片付けて出発する。

朝晩は寒く、この時点ではまだ防寒中。
この日も暑いの確定の画。

車は一足先に出発。今までと同じように何度も砂丘を超える。このあたりは特に砂が深く坂が長い。やはりそう容易な条件ではない。

シンプソン砂漠の中心あたりからは砂の深さが増し、車も坂を上りきれず、登坂途中で車が止まることがあった。その度にリバースギアと重力を使って坂下に後退しては、やり直しを繰り返す。

反面、砂が深い分、綺麗な砂丘も多い。

砂丘登坂に苦しみつつ、何度も同じことを繰り返しつつ向かっていると、ビックリするような光景が・・・。あきらかに今までと景色が違う!

ある一つの小高い砂丘を超えた瞬間緑の草花が広がっているのが見える。何ということ!?

今までは砂の茶色と砂漠に生える特殊な植物しかみてこなかったのに・・・。明らかに色が異なる。

ナゼ???

砂漠の中のオアシスか?夢でも見ているかのような錯覚が起きる。鳥が飛び、蝶が舞う。砂漠であることを忘れさせてくれる場所だ。どうも川がある。それがこの楽園の理由である。

このエリア一帯は雨が非常に少ない。水たまりが出来るようなことがあっても日照りが続くとそれらを全て干上がらせてしまう。

ではこの川の水源は?あとで確認した話だが、それは地下水とのこと。

このあたり一帯は大鑽井盆地で地表の水分は少ないものの、地中奥深くには大量の水が眠っているという。砂漠なのに植物が存命しているのはこれが理由。

この川はその地下水が地上に染み出し、そして、川になったものらしい。水があれば、その周りには動物や草花が生きていく環境が整いやすい。それが故にオアシスを作り上げていたのだ。

ここには今まで見ていなかった鳥も蝶も花も。太陽とは違うまぶしさ。そして、その楽園の横を流れる小川。野性のエミューも横切っていく。

ん・・・。でもこの小川があるので、大きく迂回しなければならないな。

車で途中まで行きつつ、『これであっているのか?』と踵返しを繰り返し、元の道へ。結局そこにしか轍がないことがわかり、また川沿いの道を行く。大きく5~6㎞ほどは迂回しただろうか。

未舗装路だが車ならまぁ、そこまでの苦はない。でも自転車の大島さんは?

チャレンジをしたいという大島さんにはこのことは何も告げず、衛星電話にも触れずにもいた。

そしたら、大島さんから数時間後に着信が・・・。

「山口さん!川渡ろうとしたんだけど深くて・・・。」

え!川越えようとしたんか?

さすが大島さん。やることがワイルド極まりない。

これ自転車で越えようとする?さすがだな。大島さん。

大島さんからの電話でやはりというか、当たり前だが、車が先行していることを確認して、暫しオアシスの中で癒される。

川沿いの鳥たちはこの場所で繁殖している様子。途中何頭か子連れのエミューを発見するものの、野性のものは警戒心も強い。すぐに逃げられた為、足跡のみ。

砂地にお花畑が広がっている非常に不思議で幻想的な場所。

ただ、川から離れるとまた見慣れた茶色い風景へ。砂漠のオアシスで久しぶりに鮮やかな色合いで目にも刺激的な場所であった。

そこからほどなく進んでいった先に出てくるのがこれ。本日の目的地ビッグレッドである。

『!!!!????』

今までの砂丘が比較にならないレベルの高さ!すごいな・・・。

『これは大島さんと一緒に味わうしかないっしょー!』

今頃川を迂回している大島さんをビッグレッド手前で待つことにした。そして待つこと数時間。大島さん現る。

興奮状態の我々おじさん2人は登坂に挑戦することに。

しかし、何度やっても車では登れない。パジェロの力をもってしても坂の途中で力尽きてしまう・・・。

勢いをつけて威勢よく登る!
登る!!
力尽きる・・・

これが一番惜しかった登坂。結局ほんの一歩手前でタイヤは空を切ることに・・・。ゴールは見えていても登坂途中で止まってしまってはそこから上に向かうことはほんの少量とて不可能。

ここからまたバックしてはやり直す。これを繰り返すもどうしても坂の途中で止まってしまう。

坂の上では逆方向から来た観光客のギャラリーたちも高みの見物をしている。何としても登りたいのだが、登れない。

何という屈辱・・・。

その横では男性2人組のトヨタハイラックスが猛スピードで登坂に臨み、見事成功させていた。

車レベルの差ではないはず。となると、これは運転手の技術の差か??

10回ほどトライしたが結局断念した。これ以上ガソリンを無駄には出来ない。本当に無念だが・・・。

そして自転車の大島さんも大ボスに挑戦。自転車を押し上げ、息も絶え絶えに登る!

この日の自転車の重さは想定70㎏
顔はフライネットで何も見えていないが・・・
悶絶中・・・
そして背中で見せる黄昏漢

このビッグレッドは迂回路もある為、車で登りきれなくても大丈夫。

結局この日はビッグレッドの頂きが見える場所にテントを張り、屈辱さと無念さを心の内に抱きながら眠ることに。

かがむのが苦しいのか。登れなかったことが悔しいのか。いずれにせよ、燃やせるゴミを燃やしつつ、落胆しながら焚火するの画。

おやすみなさい。

⑯へ続く

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