⑬の続き
2019年9月17日
砂漠に入って初めてのことだが、風が強い。確かに昨日、塩湖では一部で突風が起きていた。前夜にとんでもない数の星を見て、また無風を感じていた為、間違いなくいつもの晴天になると思っていた。


このあたりの年間降雨量は5mm程度。雨の心配はさほどしていなかったものの、風は防ぎようがない。
風が強くて、砂が舞ってしまい、いつもの青とは違うぼんやりした空のもと、スタートを切る。
東へと延びるQAAライン、東西の道は砂丘越えの道で体力の消耗も激しい。このQAAラインは100㎞を超える長い一本道で、今夜もこの道沿いのどこかで宿をとることが確定している。
前日の疲れは残っていない。と大島さんは言う。車を運転しているおれは十分疲れが残っているけどな・・・。
大島さんは腰、お腹が復調の兆し。まずは10㎞置きに待ち合わせをすることにして、いつものように出発。


陽射しが遮られてこれはこれでいいかも。なんて言いながら、走っていたのも最初だけ。朝方の強い風も徐々に収まり、大気中の砂が落ち着くと、また照りつける太陽にさらされる。


この暑さの中、この人はまた狂人的な精神で乗り切る。

ただひたすらに東側へと向かう砂丘の数々。押し登っては下るを繰り返す。
結局この日、東への一本道で56㎞の走行距離を稼いだのだった。地図で見るとここまで来ている。

青矢印:この日のキャンプ場所 オレンジ枠:バーズビル(自転車旅ゴール地点)
もう少し寄ると・・・。

オーストラリア全体で見ると・・・。

移動距離はほんの少しに見える・・・。
そして夕食の時に大島さんがこう言う。
「山口さんがいると安心しきってしまうから。だから。明日はここから先38㎞先にあるBig Red(ビッグレッド)まで直接行って下さい。」
ビッグレッドとはこの砂丘の最難関ポイントされる場所で、ここを超えると砂漠の東側にある町Birdsville(バーズビル)まで37㎞という距離。冒険家大島さんがこの砂漠旅のゴールもここと決めている。
そうか。ゴールがあと一歩のところへと見えてきて、より挑戦したい気持ちになっているのかな。了解した旨を告げる。
明日はこのビッグレッドを目指し、さらにその先の道の状況次第ではゴールも視野にいれる。

⑮へ続く



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